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肥料雑学

植物の必須元素

植物の生育に必要な17種類の必須元素

必須元素とは植物の生育に不可欠な元素で、植物が必要とする量から多量元素と微量元素に大別されています。

必須多量元素
(9種類)

植物が比較的多く吸収する元素で、植物そのものの構成元素になるものが多く、食事に例えると主食・メイン料理にあたります。

炭素(C)、水素(H)、酸素(O)
大気中の二酸化炭素(CO2)、又は水(H2O)から供給されるため、通常は肥料として与える必要はありません。

肥料三要素

窒素(N)、りん酸(P)、カリウム(K)

二次要素

カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)

必須微量元素
(8種類)
鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、塩素(Cl)、ニッケル(Ni)
有用元素
ケイ素(Si)、ナトリウム(Na)、コバルト(Co)等
植物が最も多く必要とする養分「肥料三要素」
肥料三要素である窒素(N)、りん酸(P)、カリウム(K)は植物が最も多く必要とする養分です。土壌中で不足しがちなので、肥料として補給する必要があります。
元素
植物体内での主な働き
窒素N
光合成に必要な葉緑素や核酸等の構成元素で葉や茎の生長に欠かせないため、葉肥とも言われます。生長過程において最も敏感な元素で、窒素が多すぎると軟弱となり、病害虫・冷害等の抵抗性が衰え、窒素が少ないと葉の緑色が減じ淡黄色となり、植物全体が矮性になり分げつが減少します。
りん酸P
核酸・酵素の構成元素で開花・結実を促進するため、実肥又は花肥とも言われます。過剰症はでにくいですが、りん酸過剰はマグネシウム・亜鉛・鉄欠乏を誘発し、少ないと着果数が減少し開花・結実も遅延します。
カリウムK
細胞の膨圧維持による水分調節(浸透圧調整)に関与し、根の生長を促進することから根肥とも言われます。過剰症はでにくいですが、カリウム過剰はカルシウム、マグネシウム欠乏を誘発し、少ないと根は主根付近のみに形成、側方の根の生長が制限されます。
肥料三要素に次いで植物の要求度が高い「二次要素」
二次要素であるカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)は肥料三要素についで植物の要求度が高い元素です。
元素
植物体内での主な働き
カルシウムCa
細胞組織を強化し、根の生育を促進します。過剰症はでにくいですが石灰を多量施用すると拮抗作用によりマグネシウムやカリウムの吸収を抑制し、不足するとトマトの尻腐れ、キャベツやハクサイなどの芯腐れが発生しやすく、窒素過多、水分不足はカルシウム欠乏症を助長します。
マグネシウムMg

光合成に必要な葉緑素の構成元素で相乗効果によりりん酸の吸収や運搬を助けます。過剰症は出にくいですが、マグネシウムは葉と果実に多く含まれ、生育中期~後期にかけて欠乏症が発生すると果実では着果付近の葉に黄化(葉脈間クロロシス*)が現れます。

葉の葉脈間に見られる黄化現象では葉脈の緑色は残るので葉全体は網目状に見えます。

硫黄S
タンパク質、アミノ酸、ビタミンなどの生理上重要な化合物に欠かせない元素で、炭水化物代謝や葉緑素の生成を助ける働きもあります。植物自体に過剰症は見られないものの、土壌の酸性化や老朽化水田では硫化水素発生の原因となります。
植物の生育に不可欠な8種類の「必須微量元素」
微量元素は必要量は少ないのですが、植物の生育には不可欠で、量が多くても少なくても様々な生育障害が起こります。また、植物の構成成分ではなく、酵素的作用が多く、食事に例えると副菜にあたります。
元素
植物体内での主な働き
Fe
光合成に必要な葉緑素の生成に関与し、アルカリ土壌で鉄欠乏が起こりやすく、新葉が黄化(クロロシス)します。畑作物では過剰症はでにくいですが、ナスの鉄さび症やユリのスミ症(土壌pH4.8~5.5)などがあります。
マンガンMn
葉緑素の生成、光合成、ビタミンCの合成に関与します。アルカリ土壌や有機物の多い土壌で欠乏が起こりやすく、みかんや柿などの異常落葉はマンガン過剰症の一つで、症状回復には土壌pHを適正にする方法がとられます。
ホウ素B
水分、炭水化物、窒素代謝に関与し、根や新芽の生育を促進します。土壌中のホウ素は雨とともに流れやすく、pHが高いと植物が吸収しにくくなります。大根などのアブラナ科野菜はホウ素要求量が多く、不足すると赤しん症などが起こります。
亜鉛Zn
葉緑素や植物ホルモン(オーキシン)の生成に関与し、不足すると葉が小さくなったり、変形、葉脈間に黄色斑点が生じます。また、微量元素の中でも過剰害がでやすい元素で新葉の黄化という形で現れます。
モリブデンMo
窒素の消化吸収(アミノ酸、ビタミンC合成など)を助ける元素で過剰症はでにくいです。また、根粒菌の窒素固定にも関与し、必須元素の中で最も必要量が少ない元素です。
Cu
植物体内の酸化還元、葉緑素の形成を助け、不足すると葉に黄白化、褐変、よじれなどが生じ、果樹には枝枯れなどの欠乏症が現れます。また、過剰では根の生育が悪くなり、古葉の黄化や鉄の欠乏も誘発します。
塩素Cl
光合成の明反応と関連があり、デンプンなどの合成に関与します。また、不足すると葉の先端が枯れ、やがて青銅色に壊死します。
ニッケルNi
尿素をアンモニアに分解する酵素(ウレアーゼ)の構成元素であり、最も新しく必須元素に加わった元素です。欠乏すると葉が黄化し、白く枯れます。
特定の作物に与えると生育を促進する「有用元素」
有用元素は必須元素ではありませんが、特定の作物に与えると生育を促進します。
元素
植物体内での主な働き
ケイ素Si
イネ科植物が多く必要とし、ケイ素の施用でケイ化細胞が増えると植物体は病害虫に強くなり、倒れにくくなります。
ナトリウムNa
サトウダイコンなどが多く必要とします。
コバルトCo
根粒菌の窒素固定に重要な役割を担うなど、マメ科作物の生育を促進します。