有機質肥料とは
有機質肥料は、植物や動物に由来するものや食品工業等からの副産物を原料とした複雑な含窒素化合物(タンパク質、アミノ酸等)、有機リン化合物で構成された肥料です。肥料効果の他にも土壌の物理性や生物性の改善効果もあります。
成分は化学肥料と比較して全体的に低いものが多いです。土壌中の微生物の働きにより、有機態の形から無機態の窒素やりん酸に分解されてはじめて肥効が現れ、植物に吸収されるため、肥効はゆっくり効いてくる緩効性の肥料です。
有機質肥料の施用効果
- 効果
- 1
- 窒素、りん酸、カリウム、マグネシウム、微量元素等の肥料養分の供給
- 効果
- 2
- 有機質の緩慢な分解による濃度障害の緩和
- 効果
- 3
- 土壌微生物による分解過程における生成物(多糖類や腐植等)により土壌の団粒化を促進し、土壌物理性(通気性・保水性・排水性)を改善
- 効果
- 4
- 有機質は土壌微生物の餌となり、微生物活動を活性化する等生物性の改善
有機質の様々な効果により作物の収量や品質向上等が期待できます。
有機質肥料の使用目的による使い分け
有機質肥料には、肥料効果と土づくり効果(土壌物理性改善等)の2つの効果があります。
緩効的な窒素、りん酸等、主に肥料効果を目的としている有機質肥料の多くはC/N比*が小さいです。微生物分解を受けやすく、最終的には炭酸ガスと水にまで分解されてしまうため、腐植の補給効果も意外に小さいのです。よって、腐植の補給等、土壌の物理性改善が主目的であれば、窒素、りん酸等の肥料効果は小さいですが、比較的C/N比が大きな有機物(堆肥等)を施用することで、土づくり効果(土壌物理性改善等)が期待できます。
- *
- C/N比(炭素窒素比)
堆肥の表示項目の一つで有機物の成分に炭素(C:主に繊維質)が多いか、窒素(N:主にタンパク質)が多いかの成分比を示す指標です。
肥料効果を主目的とする
有機質肥料例
有機質肥料例
植物質肥料
- なたね油粕
- 米ぬか油粕
- 大豆油粕
動物質肥料
- 魚粉末
- 肉粕
- カニ殻
肥料効果と土づくり効果を
主目的とする有機質資材例
主目的とする有機質資材例
植物質堆肥
(主に土づくり)
(主に土づくり)
- 稲ワラ堆肥
- 麦ワラ堆肥
- バーク堆肥
動物質堆肥
(主に肥料効果)
(主に肥料効果)
- 鶏糞堆肥
- 豚糞堆肥
- 牛糞堆肥
『無機質肥料』と『有機質肥料』の
特徴を活かした組み合わせが重要
特徴を活かした組み合わせが重要
「有機」が過剰なまでに関心を集めており、「有機=万能」と錯覚されることもありますが、有機質肥料は万能肥料ではありません。無機質肥料には無機質肥料の良さがあり、有機質肥料には有機質肥料の良さがあります。無機質、有機質の種類にとらわれず、それぞれの肥料の特徴を活かす組み合わせを考え、使用目的にあった肥料を使うことが重要です。